「蟹工船」を読んでいるときに遭遇した用例。
「糞壺」の梯子はしごを下りると、すぐ突き当りに、誤字沢山で、
雑夫、宮口を発見せるものには、バット二つ、手拭一本を、賞与としてくれるべし。
浅川監督。
と、書いた紙が、糊代りに使った飯粒のボコボコを見せて、貼(は)らさってあった。
小林多喜二 「蟹工船」 青空文庫
はじめて見つけたときは、「あれ、これ、方言だよね…」と、ちょっと考え込んだ。
小林多喜二は秋田県で生まれ、北海道の小樽で育っている。
青空文庫で検索したところ、同じ小林多喜二の「不在地主」という作品にも「貼らさっていた」の例が見える。
こういう用例に出会うと、ちょっとした宝物発見のうれしさがある。
この助動詞「さる」、他の作家の作品では、いまのところ未発見。津軽などを舞台にした小説の会話文なら、ありそうな気がする。
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