2016年7月23日土曜日

ああ【嗚呼】

「銀河鉄道の夜」の、ジョバンニのお母さんは、「ああ」を多用する人である。


ああ、ジョバンニ、お仕事がひどかったろう。今日はすずしくてね。わたしはずうっと工合がいいよ。」

ああ、お前さきにおあがり。あたしはまだほしくないんだから。」

ああ三時ころ帰ったよ。みんなそこらをしてくれてね。」

あああたしはゆっくりでいいんだからお前さきにおあがり、姉さんがね、トマトで何かこしらえてそこへ置いて行ったよ。」

あああたしもそう思う。けれどもおまえはどうしてそう思うの。」

ああだけどねえ、お父さんは漁へ出ていないかもしれない。」

ああ行っておいで。川へははいらないでね。」

ああ、どうか。もう涼しいからね」


以上、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」(青空文庫)の、ジョバンニのお母さんの台詞。

ジョバンニやカンパネルラも、わりと「ああ」と言っている。

驚いたことに、地の文も「ああ」と言っている。



 ああそこにはクリスマストリイのようにまっ青な唐檜とうひかもみの木がたってその中にはたくさんのたくさんの豆電燈まめでんとうがまるで千のほたるでも集ったようについていました。 

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」(青空文庫)の、ケンタウル祭のところ。
















0 件のコメント:

コメントを投稿