「銀河鉄道の夜」の、ジョバンニのお母さんは、「ああ」を多用する人である。
「ああ、ジョバンニ、お仕事がひどかったろう。今日は涼 しくてね。わたしはずうっと工合がいいよ。」
「ああ、お前さきにおあがり。あたしはまだほしくないんだから。」
「ああ三時ころ帰ったよ。みんなそこらをしてくれてね。」
「あああたしはゆっくりでいいんだからお前さきにおあがり、姉さんがね、トマトで何かこしらえてそこへ置いて行ったよ。」
「あああたしもそう思う。けれどもおまえはどうしてそう思うの。」
「ああだけどねえ、お父さんは漁へ出ていないかもしれない。」
「ああ行っておいで。川へははいらないでね。」
「ああ、どうか。もう涼しいからね」
以上、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」(青空文庫)の、ジョバンニのお母さんの台詞。
ジョバンニやカンパネルラも、わりと「ああ」と言っている。
驚いたことに、地の文も「ああ」と言っている。
ああそこにはクリスマストリイのようにまっ青な唐檜 かもみの木がたってその中にはたくさんのたくさんの豆電燈 がまるで千の蛍 でも集ったようについていました。
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」(青空文庫)の、ケンタウル祭のところ。
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